マヨネーズが天ぷらをサクサクに
キユーピー、調理科学会で実験結果を発表

 キユーピーは天ぷらの調理の際、バッター液に卵に代えてマヨネーズを入れると、衣がサクサクしておいしい天ぷらに仕上がることを研究成果として分析、確認した。この内容を日本調理科学会の08年度大会(8月29〜30日、椙山女学園大学)で発表した。

 同社では「乳化したマヨネーズが衣に含まれる水分を蒸発させること、マヨネーズ原料の油や食酢がバッターのグルテン形成を阻害していることが示された」と実験結果から分析している。
 揚げ物中でも人気が高い「天ぷら」の物性とおいしさに及ぼすマヨネーズの効果を調べるのがねらい。(1)基本配合のバッターである薄力粉、全卵、水と(2)全卵をマヨネーズに代えたバッターで「えび天」と「揚げ玉」を作り、比較した。

マヨネーズを使うと天ぷら
がサクサクおいしくなる

 (1)バッターの基本配合と実験方法
 薄力粉100g、全卵(またはマヨネーズ)50gと水150gで計300gのバッターとし、えびは冷凍大正えびを使用、揚げ油は菜種油とした。
 全卵(またはマヨネーズ)に清水を加え、さらに薄力粉を加えて左10回、右10回の攪拌を4回繰り返し。えびにこのバッターをつけ、180℃の油で120秒揚げる。
 この後、30分間放冷し、全卵配合とマヨネーズ配合のえび天ぷらのサクサク感やおいしさを官能評価した。評価パネルは女子大生56名。

 (2)実験結果
 約89%のパネルがマヨネーズ衣の方がサクサク感がある、と評価した。特に60%強のパネルはマヨネーズ衣が「非常に」、または「かなり」サクサク感があると評価した。
 おいしさの官能評価も約80%がマヨネーズ衣を評価。50%以上のパネルがマヨネーズ衣を「非常に」、または「かなり」おいしいと認めた。全卵衣のえび天ぷらを「非常に」、または「かなり」おいしいとしたのは5%未満と少数だった。

 (3)メカニズムの検証(機器測定)
 前の実験で作った揚げ玉を使い、天ぷらがサクサクとなる要因について、水分測定と物性測定(テンシプレッサー使用)で調べた。水分測定では「水分が少ないことでサクサク感が強くなる」と評価できる。テンシプレッサーでは測定で得られるグラフのピーク数が多いとサクサク感が強くなると評価できる。

 水分は「加熱乾燥法」(乾燥温度105℃)で測定。テンシプレッサーはMy Boy System Model TTP-50BX(タケモト電機製)で1バイト測定Clearance5解析を使い、ピーク数を測定した。
 「対照」はバッターの基本配合で全卵を入れたサンプル。
 「乳化」はバッターの基本配合でマヨネーズを入れたサンプル。
 「未乳化」はバッターの基本配合でマヨネーズ原料を乳化させずに入れたサンプル。
 「食酢(−)マヨ」はバッターの基本配合でマヨネーズ原料の食酢を清水に置き換えたもの(乳化)を入れたサンプル。
 「油(−)マヨ」はバッターの基本配合でマヨネーズ原料の油を清水に置き換えたもの(未乳化)を入れたサンプル。
 「卵黄(−)マヨ」はバッターの基本配合でマヨネーズ原料の卵黄を清水に置き換えたもの(未乳化)を入れたサンプル。

 乳化の有無による違いを比較検討し、さらに油と卵黄がないとしっかりと乳化されないため、乳化状態にある乳化・食酢(−)マヨと、未乳化状態の未乳化・油(−)マヨ・卵黄(−)マヨに分けて比較した。

 その結果、水分量は乳化が最も少なく、次いで未乳化、全卵衣の順に少なかった。テンシプレッサーのピーク数は乳化が最も多く、次いで未乳化、全卵衣の順に多かった。テンシプレッサーのピーク数は乳化30個、未乳化23個、食酢(−)マヨ23個、卵黄(−)マヨ20個、全卵衣15個、油(−)マヨ11個。

 以上の結果、マヨネーズが乳化されていること、マヨネーズに油や食酢が配合されていることでサクサク感が強くなることが示された。

 (4)まとめ
 「マヨネーズを入れた天ぷらはサクサクしておいしい」。
 その理由は次の通り。
 .泪茱諭璽困脇化しているので、バッターにマヨネーズを入れると衣の中に油が分散した状態になる。その分散した油の温度が加熱によって上昇し、周囲の水分の脱水を促進する。
 ▲泪茱諭璽困量と食酢がバッターのグルテン形成を阻害するため、サクサク感のある衣を作ることができる、と考えられる。

 キユーピーはマヨネーズの用途拡大のため、サラダに使用するだけでなく、「ハンバーグに入れるとジューシーになる」など様々な“裏ワザ”レシピを積極的に開発し、提案している。併行して研究所ではなぜそうなるのかを研究し、学会等で発表している。

 マヨネーズを使った調理の食感、食味改善効果に関する過去の研究と成果発表例は次の通り。
 (1)調理食品の物性とおいしさに及ぼすマヨネーズ添加の影響(日本調理科学会04年度大会)
  →マヨネーズをハンバーグに入れるとふっくらジューシーに仕上がる。また、厚焼たまごに入れるとふわっと仕上がり、色調も良くなる
 (2)マヨネーズを用いた揚げ油を使わないフライの調理特性(日本調理科学会05年度大会)
  →揚げ油を使わないえびフライ様食品の調理方法を提案
 (3)ホットケーキの物性とおいしさに及ぼすマヨネーズ添加の影響(日本調理科学会06年度大会)
  →マヨネーズはホットケーキをふんわり、サクッと、おいしく仕上げる
 (4)チャーハンの物性とおいしさに及ぼすマヨネーズ配合の影響(日本調理科学会07年度大会)
  →マヨネーズはチャーハンをパラッとおいしく仕上げる