容器包装ってなに? 答えを探すミュージアム

 容器文化ミュージアムは東京都品川区の東洋製罐グループホールディングス本社の1階にある。 
 4年前に本社を移転したときに、日本で初めて製缶業を始めた同社が、容器包装のことをもっと一般利用者に知ってもらいたいとの思いから開設した。延べ床面積は約300屬肇灰鵐僖トながら、企画展を行うスペースもあり、7月1日からは自動販売機について展示を行っている。夏休みにはガラス張りで中身が見える販売機を設置するという。

     インバーテッドボディメーカー

 建物の外からでも見えるミュージアムの入口ではアメリカのメーカーが約100年前に製造した自動製缶機インバーテッドボディメーカーが入場者を出迎える。自動製缶機が導入される以前は缶詰会社の職人が手作業で缶を作り、中身を詰め、ハンダゴテで密封まで行っていたので、1人の職人が1日150缶程度造るのがやっとだった。日本の産業の発展のためには製缶と缶詰製造の作業を分業化し、製缶作業を機械化することが不可欠だとして、東洋製罐が1917年に誕生。製缶の専業化を日本で初めて開始した。展示している機械は国立科学博物館の「重要科学技術史資料」に登録されている。
 ミュージアムは入場料無料。誰でも入場できる。展示内容は学校でモノづくりを体験する小学校5年生をターゲットにしているが、老若男女、誰でも楽しめる内容となっている。
 館内は外国人でも進路がわかるようにテーマに沿って番号が付されている。

01 人と容器のかかわり

 人の暮らしと切っても切れない容器包装は、役割や機能を進化させながら、利用分野を広げ、ますます重要な存在となった。パネル中央には「容器包装って何?」との問いかけが。「ミュージアム中で答えを探してください」。
 内部では容器包装の文化を伝えるという姿勢から東洋製罐グループ以外の製品も展示している。

02 容器包装の役割

 容器包装は「まもる」、「つかいやすく」、「つたえる」という3つの大切な役割がある。その役割を果たすための素材や形、パッケージデザインなどについて、多種多様な容器を取り上げて紹介している。

 「まもる」では微生物から中身を守るレトルトパックや缶詰、衝撃や振動から卵を守る紙容器などが並ぶ。茶色い瓶は光からビタミンCを守る等の意味がある。
 「つかいやすく」では、消費者が使いやすいように考えられた、開けやすく詰め替えやすい洗剤容器や、運送・陳列でも便利な、箱の上部だけ除去すればそのまま商品を陳列販売できる紙箱など、日本人ならではのセンスを感じさせる製品を展示している。
 「つたえる」ではパッケージのデザインや色で中身を正しく伝え、作る人の思いや商品の良さをアピールする工夫を紹介。健常者にはあまり知られていないが、ビールなど酒の缶には点字があり、清涼飲料水などには点字はない、など改めて気づかされる事実がある。

03 包装容器NOW!

 飲み物や日用品などの多彩な容器包装には、それを考え、作った人の技術や知恵、工夫が驚くほどつめこまれている。実物の容器にQRコードがついており、リーダーで読み込むと色々な情報が画面に出てくるので、ゲーム感覚で、進化を続ける容器の「今」について学べる。クイズ形式のキャビネット、加工食品容器に隠された機能を拡大して見せるコーナーなど楽しく知る工夫が満載の展示となっている。

04 環境

 容器を作る段階での環境対応を紹介するコーナー。例えばTULC(タルク)という飲料缶は、二酸化炭素の排出量を削減。従来は製造時に多くの水を使用していたが、TULCはまったく水を使わないなど、さまざまな環境対策の取り組みをわかりやすく説明している。小学生などが重点を置いて来館する例が多いという。分別の大切さを遊びながら体験できるゲームコーナーがあることも小学生人気に一役買っている理由か。

05 循環する容器包装

 作られ、使われ、分別回収されて、また新しく生まれ変わる容器包装。

 「つくる」では普段目にすることがない「缶」、「ペットボトル」、「キャップ」、「ガラスびん」、「紙コップ」を製造する様子が映像で見ることができ、工場見学の気分を味わえる。
 「はこぶ・とどける」では工場で作られた容器が飲料工場などに運ばれて、どのように中身を詰めて、どこに運ばれていくのか、タッチパネルで流れを紹介している。
 「あつめる そしてまた つくる」では分別回収した容器包装が色々な製品に再利用されていることがわかり、循環型社会を実現するうえで、何ができるのかを考えさせられる。

06 缶ラベルコレクション

 明治時代からの代表的な缶詰ラベルをPCに取り込み約2300枚展示している。缶詰が主に輸出用だったころの紙ラベルには、日本製をアピールするために日本髪の女性や富士山が描かれ、色も美しく、芸術性が高い。ラベル1点1点を詳細に見ていくと、当時の日本の時代背景をうかがい知ることができる。

壁面には「人と容器の物語」

 長い歴史の中で容器包装はどのように進化し、人の生活を便利なものに変えてきたのか。
 缶詰の原理となる食品の長期保存方法をフランスのニコラ・アペールが発明したのは1804年。菓子職人だったニコラが懸賞金のかかった、保存食のコンクールに応募するために考案した方法。瓶詰めで、中身は肉などを油で煮たコンフィ、コルク栓をして周りを漆喰で固めた。加熱して、空気を遮断するという、長期保存の基本を押さえ、理にかなっているが、パスツールによる細菌学的研究が始まる前の出来事。

 蟹工船が本格的に始まる前の試験操業の様子、高碕達之助氏が東洋製罐を創設するに至った経緯、戦時中に食されていたおせち料理の缶詰のレプリカ、紙容器で販売されていた日本で初めてのシャンプー、なつかしさを感じるへリングボーン式のコンビーフ缶、日本初のレトルト食品「インスタントカレー」。時代が「今」に近づくにつれ、容器包装が急速に発展していく様子。
 多くの人が関わり、知恵を絞り、技術を磨きながら発展してきた容器の歴史を実物やアニメーション、年表等を交えて年代を追って紹介している。


 容器文化ミュージアムは東京都品川区東五反田2-18-1 大崎フォレストビルディング1階。大崎駅東口から徒歩6分。開館時間は9:30〜16:30。10〜40名の団体も受け入れている。
 問い合わせは東洋製罐グループホールディングス(株)(Tel03-4514-2000 FAX03-3280-8111 E-mail contact_museum@tskg-hd.com)まで。